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ユニプレス(5949)の分析|業績拡大するも日産自動車の業績不振が重荷

基本情報

ユニプレス(8233)は、車体骨格などのプレス成型を主力事業とする自動車部品メーカーである。樹脂部品やトランスミッション部品の製造も手掛けるが、いずれもプレス技術からの派生製品となっている。1998年に経営不振に陥っていた日産自動車が主導した系列解体を背景に、当時の山川工業と大和工業が合併して誕生した経緯がある。2014年には日産自動車が保有するユニプレスの株式を全売却して資本関係を喪失したが、依然として売上高の約70%を日産自動車グループが占めていることから主要顧客である点に変わりはない。

目次

株価の推移

株価は10年来安値の水準に下落

■株価の特性
ユニプレスの株価は成長株と景気循環株の性質を併せ持つ推移である。2009年以降のユニプレスは売上高を堅調に拡大させながら純利益を安定的に確保し続けており、株式価値を順調に向上させ続けてきた結果が株価の推移に表れている。業績の成長に応じた株価推移が基本ではあるものの、景気動向に敏感な自動車産業に属することから景気後退への懸念が高まった2016年および2018年には厳しい株価下落を強いられている。ただし、2019年以降は成長株としての特性が剥落しつつあり、過去の株価特性とは異なる推移に転換しつつあるか。

■過去の株価推移
2008年から2017年に至るまで、ユニプレスの株価は堅調な上昇基調で推移しており、2017年には3420円に到達している。同期間の株価上昇は、①ユニプレスの業績の拡大基調の継続、②BPSが1207円から3140円へと約2.6倍に増加、③景気回復を見越した景気循環株への資金流入、によって支えられていた。1998年のユニプレスが株価200円台で推移していたことを踏まえると、1998年から2017年までの20年間で株価17倍を達成した格好である

日経平均株価との相関性は低い

■日経平均株価との相関性
日経平均株価との相関性は低い。ユニプレスはリーマンショックによる影響を軽微に留めたことに加えて、2009年を底に景気後退局面においても業績を順調に成長させたことで、株価が長期的に堅調に推移している。過去10年間において成長株の性質が色濃かったユニプレスと景気循環的に推移しやすい日経平均株価は根本的な性質が異なっており、株価の推移に相関性を見出しにくい

■過去の日経平均株価との相関性
2009年から2011年までは低迷する日経平均株価を尻目にユニプレスの株価は力強い上昇基調を続けて、株価は2倍以上の水準にまで上昇している。しかし、アベノミクスによる株高局面が始まると日経平均株価が上昇に転じ、横ばいを継続したユニプレスを超える上昇率を記録して追い抜かれる格好となった。その後は同水準での推移となったが、2017年以降にはユニプレスの株価が急激な下落に転じ、日経平均株価に対して逆行安を演じている。

業績の推移

売上高は過去10年間に渡って拡大基調

■売上高の特性
売上高は過去10年間に渡った拡大基調が踊り場を迎えており、成長企業としての段階が一巡して成熟企業へと変容しつつある状況である。日産自動車の新車販売台数は2007年の377万台から2018年の551万台へと成長を示しており、日産自動車の成長に相乗りしてユニプレスは業績を拡大してきた。1998年の合併時の売上高は約1500億円であったことを踏まえれば、過去20年間で売上高を約2倍に成長させた計算になる。主要顧客の日産自動車の減産が当面の重荷であるが、他の完成車メーカーへの拡販が実るかに着目したい局面である。

■過去の売上高推移
2010年と2013年における売上高の増加が顕著であるが、原因はそれぞれ異なる。2010年の売上高増加はリーマンショックで低迷した新車需要の回復と日産自動車の好調が重なったことが原因である。同年は日産自動車の新車販売台数は前年比19.1%増加と極めて好調であり、ユニプレスの恩恵も大きかった。2013年の売上高増加は為替が円安推移となったことに中国および北米で日産自動車の新型車の投入が重なったことが原因である。同年は2010年ほどの新車販売台数の増加はなかったものの、日産自動車が世界戦略車であるシルフィやキャシュカイの新型車を相次いで投入する中で歴史的円高が解消に向かったことが売上高を押し上げた。

営業利益は上下変動するも底堅い

■営業利益の特性
営業利益は上下変動が激しいものの、リーマンショック後も含めて営業赤字に転落していない底堅い推移となっている。売上高の拡大に合わせて営業利益のレンジが切り上がっていることから、利益水準を損なわない規模拡大に成功している。営業利益率という観点では、概ね5%を上回る水準での推移となっており、自動車部品メーカーとしては相当に高い利益水準となっている。ユニプレスは海外売上高比率が70%を超えるグローバル企業である為、営業利益の上下変動における為替影響が大きい点には注意が必要か。

■過去の営業利益推移
2011年の営業利益246億円および2012年から2014年にかけての一時的な低迷が際立つ。2011年はリーマンショックで低迷した新車需要の回復と日産自動車の新型車投入が重なったことでユニプレスの稼働率が年間を通して高水準で推移した結果、営業利益率10%を超える高い利益水準に到達した。2012年から2014年にかけて営業利益が低迷したのは、新型車の投入に合わせた設備投資である。減益は計画的であったものの、新型車の増産への対応コストが想定以上の重荷となったことで営業利益の低迷は事前予想を大きく上回った。総じて、営業利益は主要顧客である日産自動車の動向と為替動向に左右されやすい。

売上高の構成

日本事業(30%)

■事業内容
日本事業には、日本におけるプレス部品・トランスミッション部品・樹脂部品の製造販売が含まれるセグメントである。ユニプレスは日本国内に本社を含めた11拠点を有しており、その多くが日産自動車の製造拠点が所在する関東地方や九州地方などのエリアに設置されている。過去10年間に渡って海外事業の育成に注力していた経緯から新拠点の設置などの動きは乏しいが、2011年に連結子会社のユニプレス技術研究所を設立するなどグローバル生産体制の技術中枢としての機能を果たしている。

■過去の売上高分析
日本事業の売上高は1000億円規模で横ばい推移しているが、大局的には2011年の売上高1252億円を頂点に下落傾向にある。主要顧客である日産自動車の国内販売台数が2011年の65万台から2018年には59万台へと減少した余波を被っている。日産自動車は国内工場で輸出車両の生産も手掛けている為、国内販売台数に比例して売上高が減少することはなかったものの、国内販売台数が伸び悩んだ影響は少なくない。2015年に日本事業の売上高が急落しているのは、消費増税前の駆け込み新車購入の反動減によって日産自動車の国内販売台数が前年比▲8.1%減少したことに起因している。

■将来の売上高予測
微減を見込む。2017年以降は日産自動車の国内拠点が減産に転じたことで低調な推移を強いられたが、2019年度を底に日本事業の売上高縮小は底打ちすると見込む。2020年以降は日産自動車の国内市場向け新型車投入が加速する計画であり、日本事業の販売規模は底打ち反転を試しそう。2020年以降に投入される日産自動車の新型車が国内市場でどこまで販売台数を伸ばすかを注視したい局面である。2019年には三菱自動車系のメタルテックとの資本提携によって、同社向けの販売規模を拡大する向きがある。メタルテックは日産自動車グループの軽自動車向け部品の生産を担っていることから、ユニプレスの事業領域が国内市場において重要度が高い軽自動車領域に拡大することを示唆する。

米州事業(31%)

■事業内容
米州事業には、北米におけるプレス部品・トランスミッション部品・樹脂部品の製造販売が含まれる。北米における事業は、連結子会社のユニプレスアメリカ・ユニプレスサウスイーストアメリカ・ユニプレスメキシコが担っている。主要顧客は、北米日産・米国ホンダ・メキシコホンダ・メキシコマツダであり、北米に進出している日系自動車メーカーに依存する側面が大きい。非日系自動車メーカーとの取引実績には乏しい点には注意したい。

■過去の売上高分析
米州事業の売上高は2009年から拡大基調が続いている。2009年の売上高226億円から2017年には売上高1040億円に到達しており、成長が顕著である。特に2013年の売上高拡大が顕著であるが、これは北米日産の好調による。同年は北米日産がローグおよびアルティマの新車効果で販売台数が前年比13%拡大となっており好調だった。2014年には同業他社の八千代工業から板金事業を吸収したことでホンダ向けの売上高が加算されている。2016年には売上高が▲13%の減少に見舞われたが、為替レートによる影響が大であって、北米日産の増産基調は続いていたことから事業自体は堅調であった。2018年以降は北米日産が減産に転じたことから売上高の成長が足踏みとなっている。

■将来の売上高予測
微減を見込む。主要顧客である北米日産の米国新車販売台数は2018年に前年比▲9.3%の縮小を強いられたが、ユニプレスの米州事業の売上高は▲3.8%の縮小に抑制されており、減産影響を限定的に留まる。米州事業はメキシコおよびブラジルにおける日産自動車の生産拠点や米国ホンダやメキシコマツダまでを包含している為、日産自動車の米国新車販売台数にのみ左右されない点が救いとなっている。当面はCOVID-19の感染拡大による経済停滞によって売上高は減少するが、2020年を底に最悪期を脱すると想定する。

欧州事業(11%)

■事業内容
欧州事業には、欧州におけるプレス部品・トランスミッション部品・樹脂部品の製造販売が含まれる。欧州における事業は、連結子会社のユニプレスイギリス・ユーエムコーポレーションが担っている。主要顧客は欧州日産およびルノーであるが、2019年からはPSAグループが顧客に加わっている。2014年にはロシアにユニプレスロシアを設立したが、2015年にロシア市場の低迷を受けて工場建設を中断した。ユニプレスロシアは2020年に生産を経験しないまま解散している。

■過去の売上高分析
欧州事業の売上高は微増傾向が継続している。ユニプレスの売上高に占める比率が低いことから目立たないが、2007年の売上高237億円から2018年には売上高367億円に増加している。これは欧州事業の最大顧客である欧州日産のサンダーランド工場における生産が2013年から年産50万台を超える規模に拡大した点に起因する。2013年以降のサンダーランド工場は世界戦略車であるキャシュカイを筆頭としてノートやジュークの生産を手掛けたことで生産台数の拡大が続いており、ユニプレスの売上高の押し上げた。2013年にはリーフの生産を開始したが、ユニプレスはリーフの新車ライン立ち上げに参画している。

■将来の売上高予測
微減を見込む。主要顧客の日産自動車は再建策として販売比率の低い欧州事業を見直すと見込むが、ユニプレスの業績を左右するサンダーランド工場は維持されることで欧州事業が被る影響は軽微に留まると見込む。2021年に英国ホンダのスウィンドン工場が閉鎖されることで売上高が約30億円の減少となる。スウィンドン工場の閉鎖によって欧州からホンダの四輪車の生産拠点が消滅する為、欧州事業にとっては打撃である。欧州に所在する日産自動車およびルノーの他工場が閉鎖された場合には、生産車両がサンダーランド工場へと移管されることで生産台数が増加に転じる可能性もあるが、現在は不確実性が伴う為に考慮していない。

アジア事業(28%)

■事業内容
アジア事業には、中国・インド・タイ・インドネシアにおけるプレス部品・トランスミッション部品・樹脂部品の製造販売が含まれる。アジアにおいては、中国に連結子会社3社が所在する他、インド・タイ・インドネシアに拠点を設置している。主要顧客は東風日産・タイ日産・インドネシア日産・東風ルノー・インドルノーなどであるが、インドネシアホンダや三菱自動車(海外工場)への拡販が進んでいる。

■過去の売上高分析
2007年から2018年に至るまで拡大基調が継続している。2011年の売上高51億円から2018年には売上高951億円に到達しており、ユニプレスにとって最大の成長セグメントとなっている。特に2013年の売上高が前年比27%増と顕著である。これは、①東風日産および鄭州日産の販売台数の増加、②2012年末からの急激な人民元高による為替効果、が主要因であった。アジア事業は多数国に進出しているものの、実際には中国における日産自動車グループに売上高の約90%を依存している。

■将来の売上高予測
現状維持を見込む。中国自動車市場は2017年から低迷に陥っているが、日系自動車メーカーの販売台数は相対的に堅調である。これは、①米中貿易摩擦による米系自動車メーカーの凋落、②景気後退局面における保守的な購買行動、が主要因である。COVID-19の流行によって自動車販売台数は一時的に激減したが、感染縮小に伴って販売台数は回復に向かうか。公共交通機関を避ける目的で自動車購買意欲が活性化している点も心強い。2020年にはインドネシア日産が工場閉鎖を決定したが、同社向けの売上高は1億円規模である為に影響は少ない。2021年にはユニプレス武漢が操業開始する見込みであり、同社の売上高は100億円規模となる予定である。当面は現状維持の推移を強いられるが、最悪期は脱しつつあると想定する。

営業利益の構成

日本事業(33%)

■過去の営業利益分析
日本事業の営業利益は10億円から145億円と上下変動が激しい。日産自動車の新型車の投入が相次いだことで業績好調であった2010年や2011年には営業利益の50%を超える構成比率にまで拡大したが、2014年以降は30%台での低調な推移となっている。日本事業の過去の減益要因は主要顧客の日産自動車の減産影響が最大要因であり、2014年以降は日本における日産自動車の販売減少が重荷となり営業利益が低迷している。2017年には一時的に増益に転じたが、これはUPS活動による合理化効果による。

■将来の営業利益予測
減少を見込む。日本国内における日産自動車の主要拠点における減産影響による操業効率の低下が重荷である。2019年の日産自動車の世界生産台数は前年比▲14.5%の減少となっており、その中でも日本における軽自動車を除く生産台数は前年比▲20.1%にも及んでおり、操業効率の低下は不可避である。特にインフィニティなどの高級車種の減産が営業利益を低下させる要因となると推測される。加えて、日産自動車は2020年以降の新型車の投入に向けた準備を急いでおり、ユニプレスにおいても新型車の投入に合わせた設備投資が重荷となろう。

米州事業(20%)

■過去の営業利益分析
米州事業の営業利益は▲53億円から73億円と上下変動が激しく、過去10年間で営業赤字を経験している唯一のセグメントである。米州事業が2013年に営業赤字に転落したのは、北米日産の新型車の投入に合わせた設備投資が原因である。同年の米州事業は新型車効果で売上高が前年比82%増加を果たしたが、新型車と増産への無理な対応でコストが嵩んで営業赤字に転落した。翌年の2014年は増産対応が継続したことで営業赤字が続いたが、2015年以降は増産対応が解消したことで営業黒字に転換した。2017年以降は北米日産の減産により減益を強いられているが、営業黒字を維持している。基本的には北米日産の生産台数に利益水準が比例するが、急激な増産に転じた場合にはコスト体質が悪化する点には注意したい。

■将来の営業利益予測
減少を見込む。北米における日産自動車の販売台数は前年比▲14.3%前後の減少となっているものの、他地域と比べて利益水準が高い大型車種の構成比率が高い点に着目したい。日産自動車は北米における利益水準の低迷に苦しんでいるが、他事業に比べても米州事業の販売単価は相対的に高めであることから、ユニプレスは営業利益を確保しやすい傾向がある。減益は既定路線であるものの、日本事業および欧州事業に比べれば相対的に底堅い推移となりそう。2020年以降においては、COVID-19の流行によって米州事業の最大市場であるアメリカで新車購入意欲が大きく冷え込む点が懸念ではある。

欧州事業(5%)

■過去の営業利益分析
欧州事業の営業利益は10億円から34億円で推移しており、比較的安定している。過去10年間では2014年の営業利益34億円が際立つ。これは、①欧州日産のサンダーランド工場の増産、②1ポンド170円以上の円安推移した為替効果、が主要因である。2015年には年金関連費用の計上によって減益となったことに加えて、1ポンド150円以下の円高推移となったことが営業利益の重荷となっている。他セグメント同様、主要顧客の動向と為替効果に左右されやすい。

■将来の営業利益予測
減少を見込む。欧州における日産自動車の販売台数は全世界において最も落ち込みが厳しい。2019年の日産自動車の欧州における生産台数は前年比▲19.1%の減少となっており、COVID-19の流行以前においても前年比▲14.8%の減少となっている。これは欧州の景気減速の影響に加えて、カルロス・ゴーン前会長との争いによるイメージダウンが人権意識の高い欧州において特に重荷となった点が原因であろう。ルノー・PSAグループ・英国ホンダへの販売による下支えも構成比率の少なさから期待できない。イギリスのEU離脱問題による政治的混乱によって1ポンド140円前後での円高推移となった為替影響も苦しい。

アジア事業(42%)

■過去の営業利益分析
アジア事業の営業利益は18億円から84億円と拡大傾向が顕著であり、2016年以降はユニプレスにとって最大の稼ぎ頭のセグメントとなっている。過去においては2013年および2016年から2018年において営業利益80億円を超える水準に到達している。2013年の好調は人民元高が急激に進行したことによる為替効果が主要因であったが、2016年以降の好調は主に生産台数の拡大が主要因である。2017年以降は米中貿易摩擦によって中国景気が減速しているものの、日産自動車の新車販売台数は150万台規模を維持しており好調である。こうした事情から、他セグメントが減益に陥る中でもアジア事業の営業利益は堅調に推移している。

■将来の営業利益予測
現状維持を見込む。中国における日産自動車の販売台数は景気減速の中にあっても比較的堅調であり、底堅い。2019年の日産自動車の中国における生産台数は前年比▲11.4%の減少となったが、年度末に流行したCOVID-19の流行以前においては前年比▲2%台の減少に留まっており、一時的要因を除けば底堅い。既に中国においてCOVID-19による経済停滞が解消に向かいつつあることを踏まえれば既に最悪期を脱しつつあるか。2019年を現状維持でこなした後、2020年以降は新車需要の反動増をこなしつつ回復基調に回帰すると想定する。

財務の健全性

手元資金は急増を経てやや余裕がある水準

■手元資金の特性
手元資金は増加傾向が顕著である。売上高が年間3000億円規模と考えると手元資金としては250億円が目安となる為、やや余裕がある水準である。2007年には19億円だった手元資金は2018年には284億円に到達しており、売上高3000億円規模の企業としての適正水準に至った。現在では売上債権が買掛債権を約100億円ほど上回る状況が定着しており、売上債権からのキャッシュフローによる資金繰りの安定化も望める。過去10年間でユニプレスの手元資金への懸念は概ね解消されたといえよう。

■過去の手元資金分析
2007年の手元資金の薄さが顕著であるが、これは2007年に借入金返済に約110億円を投じたことが原因である。手元資金が逼迫する状況に追い込まれていたわけではないものの、それでも手元資金19億円は少なすぎる。当時のユニプレスは売上債権が買掛債務を下回っており、手元資金が薄くなっていたこともキャッシュフローの観点からは評価できなかった。

自己資本比率は業界中位の水準

■自己資本比率の特性
自己資本比率は微増傾向にあり、59.9%に到達している。同業他社と比較すると、プレス工業69.9%・ジーテクト53.9%・東プレ62.4%となっており、業界中位の水準である。ユニプレスは、①特定顧客への業績依存度が高い事業リスク、②景気後退局面で業績低迷しやすい業績リスク、を抱えている為、厚みのある自己資本による財務耐久力が不可欠である。過剰な自己資本比率は資本効率を損ねるが、こうした背景を踏まえると適正水準と評価できよう。

■過去の自己資本比率分析
2007年から微増傾向が続いているが、2013年に58.9%から48.5%へと約10%に及ぶ下落を経験している。この下落は、①退職給付に関する会計基準が変更されたことで109億円の退職給付に係る負債104億円が新たに計上されたこと、②海外拠点新設や新車立ち上げに合わせた設備投資の為に借入金146億円を調達したこと、が原因である。2013年は業績が一時的に下落していたが、同年の積極投資とUPS活動を土台に翌年以降は業績が再拡大へ転じたことから結果的には健全な自己資本比率の低下であった。

株価の割安感

BPSは増加傾向が継続

■BPSの特性
BPSは2008年を増加傾向が顕著であり、過去10年間で約2.6倍に増加している。2007年以降のユニプレスは安定的に純利益を確保し続けており、これらの利益が利益剰余金として蓄積されたことでBPSが拡大している。昨今の上場企業には本業の成果に関わらず、アベノミクス以降の株高局面で保有する有価証券や土地建物の評価額増大でBPSが拡大している場合が散見されるが、ユニプレスは純然たる利益剰余金の拡大でBPSを拡大させている。事業における利益蓄積という実力値によってBPSを安定的に拡大させ続けている点は評価できる。

■過去のBPS分析
2008年にBPSが僅かに下落している。同年は純利益36億円を確保したが、為替換算調整勘定が▲51億円となったことが純資産を押し下げたことでBPSが下落した。2014年から2016年にかけてのBPSの停滞も為替換算調整勘定が▲177億円となったことが純資産を押し下げたことが原因である。ユニプレスは海外売上高比率が70%を超えるグローバル企業である為、為替による影響は良くも悪くも大きくなりがちである

PBRは2011年以降は下落基調

■PBRの特性
PBRは2011年を頂点に下落基調が続く。ユニプレスがBPSを安定的に増加させたにも関わらず株価上昇が限定的に留まったことでPBR1.0倍を下回る水準での推移が定着している。2018年以降は株式市場における景気循環株の低迷や日産自動車の業績不振によってユニプレスの株価が下落したことでPBR0.5倍に近い水準にまで低落している。ユニプレスの業績が未だに堅調であることを踏まえれば、やや過剰警戒の感があるか。

■過去のPBR分析
2009年から2011年に至るまでPBRが上昇基調で推移していた点が際立つ。一般的にPBRが上昇する原因にはBPS低下と株価上昇があるが、同時期のユニプレスのPBRの上昇は株価上昇に支えられたものである。リーマンショックによって株式市場が低迷する中で、ユニプレスはリーマンショックによる業績影響を軽微に留めた上で成長路線を維持したことから投資資金が集中して株価上昇を遂げていた。2013年以降はユニプレスの連続増益が途絶えたことで株価が踊り場を迎え、PBRの上昇は終焉を迎えた。

配当金の推移

配当金は増配継続型

■配当金の特性
配当政策は増配継続型である。ユニプレスは配当政策として「各期の業績等を総合的に勘案して、安定的かつ適正な水準の配当を継続すること」を掲げており、実際に配当金推移は業績拡大に応じた増配傾向となっている。景気後退局面で業績低迷しがちな自動車産業にありながらリーマンショック以前から増配傾向を維持している点は評価できよう。2018年を除けば配当性向は20%未満に抑制されている為、財務面では未だに余裕がある。

■過去の配当金分析
2015年以降の増配が顕著である。2014年の年間25円から2017年には年間55円にまで増配されており、僅か3年間で約2.2倍に増加している。名目上は業績好調を反映しての増配であったが、2014年から2017年の利益水準は2011年よりも低水準である。業績が堅調であった2011年に増配に至らなかった理由は、①景気動向の先行き不透明感、②2013年以降の主要顧客の増産に備えた投資計画の存在、が主要因であった。2015年以降は投資計画が一段落したことに加えて、為替影響による追い風もあって増配に転じた。

配当利回りは減配を織り込み

■配当利回りの特性
配当利回りは1.5%台で推移していたが、2015年以降の増配によって3%を超える水準に到達している。2015年以前のユニプレスの配当水準は日本株の平均的な配当利回りである2%前後に劣後する水準であったが、最近は高配当株に分類される利回りにまで拡大した

■過去の配当利回り分析
2009年から2014年に至るまでは配当利回りの減少が続いたが、これはユニプレスの株価が上昇を続けていたことに起因する。2015年から2017年までは株価のレンジが変化しないまま連続増配を続けたことで配当利回りが拡大した。2018年以降は景気後退と日産自動車の業績不振への警戒からユニプレスの株価が下落傾向に転じたことで、配当利回りが拡大している。ユニプレスの業績を考慮すれば、やや減配を織り込みつつある水準と思われる。

総合評価

目標株価

1150円

2017年以降の株価は日産自動車の不振への警戒から底値圏での推移を強いられているが、やや過剰警戒気味の水準にまで低落している。目標株価の設定にあたっては、①過去に蓄積した利益剰余金によってBPSが依然として高水準である点、②日産自動車が再建に向けた動きを加速させつつある点、③主要顧客の生産動向に左右されやすいもののユニプレスの収益構造は堅実である点、を加味している。日産自動車の再建の進展を注視しながら先行きを見極めたい。

投資判断

やや弱気

過去10年間に渡る堅実な成長によってユニプレスは海外売上高比率70%を超えるグローバル企業へと脱皮したが、日産自動車の不振によって同社の成長に依存してきた実態が裏目となった。ユニプレスが更なる成長路線へ回帰する為には、①日産自動車の再建の成功、②他自動車メーカーへの拡販、のいずれかが必要となろう。ただし、日産自動車の再建は過剰な生産能力の削減を伴うことが予想され、ユニプレスを過去10年間ほどの成長路線にまで回帰させるにまでは至らない公算が高い。ユニプレスが成長路線へ回帰するには他自動車メーカーへの拡販が必須であるものの、同業他社と取引関係にある他自動車メーカーから受注を勝ち取ることは容易ではない。実際、過去10年間でユニプレスは世界中に拠点を増やしたにも関わらず、他自動車メーカーと新たに築いた取引関係は極めて少ない。現実的には、日産自動車と関係が深いルノーおよび三菱自動車への拡販が限界であろう。当面は、日産自動車の再建に追従しながら他自動車メーカーへの拡販を局所的に進める弱気な推移となりそうである。