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企業レポート

NSユナイテッド海運(9110)の分析|日本製鉄の高炉閉鎖による影響を懸念

基本情報

NSユナイテッド海運(9110)は、鉄鉱石輸送を主力とする中堅海運企業である。日本郵船系の新和海運と日本製鉄系の日鉄海運が2010年に合併して誕生した企業であり、合併によって海運業において日本第4位の売上高を誇る規模に拡大を遂げた経緯がある。新和海運は旧八幡製鉄所船舶部を源流としながらも戦後の財閥解体で独立した海運企業であり、日鉄海運は1980年代に海運部門を欲した日本製鉄がグループに迎えた海運企業である。日本製鉄に所縁の深い海運会社であり、現在は日本製鉄が筆頭株主として株式の約34%を保有している。

目次

株価の推移

株価は海運バブル後の低迷継続

■株価の特性
NSユナイテッド海運の株価は海運バブルが崩壊した2008年以降は1000円台から3000円台でのレンジ推移となっている。NSユナイテッド海運が過去10年間に渡って業績と株式価値の成長に乏しかったことが顕著な株価推移である。将来性という観点でも海運不況が2030年代まで長期化する公算が高いことが重荷となっている。株価は低迷圏での推移が継続しているものの海運業らしい景気循環的な性質は健在であり、株価の上下変動が激しい部類である。

■過去の株価推移
2007年から2008年にかけての株価高騰が顕著である。同時期は歴史的な海運バブルの到来期であり、NSユナイテッド海運に限らず海運業の株価は高値圏で推移していた。2007年10月には最高値13700円を記録するなど現在の株価水準と比べれば隔世の感があるが、当時の株価が海運バブルに支えられた異常値であった点は理解しておきたい。海運業は海運バブルで株価急騰する性質があるものの、海運バブルは船舶寿命と強い関係があることから数十年周期での到来となる。当時の海運バブルに匹敵する好調期が到来するとしても2030年代以降になろう。

日経平均株価との相関性は低い

■日経平均株価との相関性
日経平均株価との相関性は低い(2007年4月から2020年3月の相関係数:0.14)。景気循環的に推移するNSユナイテッド海運の株価推移の特性から短中期における相関性は高いが、海運バブルでの急激な株価上昇によって長期的な相関性が見出しにくい推移となっている。尤も、日経平均株価は業績成長が続くエクセレントカンパニーに牽引されやすい株価指数である為、過去10年間に渡って特段の成長を遂げていないNSユナイテッド海運の株価と長期的な相関性が生じないのは当然ではある。

■過去の日経平均株価との相関性
2007年から2012年までは日経平均株価との相関性が特に低くなっている。2007年に記録した最高値13400円から2012年の最安値790円までの下落率は94%にも到達しており、日経平均株価を大きく上回る下落率を記録した。反面、2013年以降は日経平均株価の上昇局面ではNSユナイテッド海運の株価も上昇して推移する傾向が強く、2013年から2018年に限ればある程度の相関性を見出すことができる。

業績の推移

売上高は過去10年間に渡って横ばい

■売上高の特性
売上高は概ね1300億円前後での横ばい推移となっているが、景気後退局面および景気回復局面では売上高が上下しやすい。この性質は、①景気動向による荷量の増減、②ドル円レート変動による為替効果、に起因する。NSユナイテッド海運の主要顧客が日本製鉄グループであることから、鉄鋼需要が落ち込む景気後退局面においては厳しい推移を強いられやすい。主力事業の外航海運事業における海上運賃の支払いはドル建てが主流である為、円安推移になると売上高が為替効果によって押し上げられる。

■過去の売上高推移
2009年と売上高の低迷が顕著である。2008年の売上高1327億円に対して2009年の売上高951億円にまで低落しており、減少幅は▲28%に及んだ。ここまでの減少に至ったのは、①景気後退による鉄鋼需要の冷え込みによる荷量減少、②金融不安によって年間を通して1ドル100円未満の円高推移となった為替影響、が原因である。同年の日本製鉄の売上高が前年比▲26%にまで急落した影響が大きかった点を踏まえれば、日本製鉄の企業活動を左右する鉄鋼需要とNSユナイテッド海運の売上高は相関性が高いと判断できるか。

営業利益は上下変動が激しい

■営業利益の特性
営業利益は11億円から225億円で推移しており、上下変動が激しい。実態としては海運バブルが到来していた2007年前後の営業利益は船舶需給の逼迫による海運市況の高騰によって得られたものであり、NSユナイテッド海運の実力によるものではない。平常時の実力値は、営業利益70億円前後かつ営業利益率5%台であろう。燃料油価および為替によって営業利益が左右される点は他の海運企業と同様であるが、NSユナイテッド海運は撒積船比率が大きいことからバルカー市況に営業利益が左右されやすい

■過去の営業利益推移
2011年および2012年において顕著であるが、業績不振に陥った場合には営業黒字は維持するものの巨額の特別損失を計上している。特に2012年に計上した純損失155億円は、売上高1300億円規模という企業規模を考えると未曽有の純損失であった。この純損失は、①海運バブル当時に締結していた高額用船料の定期用船契約を期限前解約する為の解約金、②海運不況によって投資回収が見込めなくなった船舶の減損損失、が理由である。海運不況に突入して久しい現在においては減損損失が発生してもこれほどの純損失には至らないと想定される

売上高の構成

外航海運事業(83%)

■事業内容
外航海運事業には、鉄鋼原料輸送・資源エネルギー輸送・不定期船が含まれる。取扱貨物は鉄鉱石および鉄鋼製品が主力であるが、LPG・バイオマス燃料・穀物・セメントなどの輸送も小規模ながら手掛ける。主力の鉄鉱石輸送では、往路として南アフリカ・オーストラリアーヨーロッパ間を輸送した後、復路としてブラジル・カナダー日本を輸送することでコストを低減している。保有船舶120隻規模のうち、ケープ型撒積船(18万重量トン型)およびハンディ型撒積船(5万重量トン未満型)を各30隻規模で保有することで、大量一括輸送と柔軟高速輸送のどちらにも応え得る体制を確保している。2019年には世界最大級のヴァーレマックス型の鉄鉱石運搬船を加えて中国ーブラジル間の大量一括輸送に進出した。

■過去の売上高分析
外航海運事業の売上高は1000億円規模で景気循環的に推移している。外航海運事業の売上高を左右する要因は、①景気動向によって変化する鉄鋼需要、②船舶需給に応じた変化を遂げる海運市況、である。過去においては2013年および2014年の好調が顕著であるが、これは中国における鉄鋼需要の回復と日本における粗鋼生産量の回復による。世界的に鉄鋼需要が堅調であった同時期はバルカー市況が好調であった為に用船料が高水準で推移したことも売上高を押し上げた。反面、リーマンショックによる景気後退で鉄鋼需要が急落した2009年は鉄鋼メーカーの生産調整が相次いだことで輸送量が急落したことが売上高を押し下げた。同年は2000年代中盤の海運バブルで過剰建造された余剰船舶による供給過多が深刻であったことが用船料を低迷させた点も痛手であった。

■将来の売上高予測
減少を見込む。2019年以降、鉄鋼市場における世界的な供給過剰が顕著となっており、主要顧客の鉄鋼メーカーの企業活動が当面は抑制される見通しである。特に日本製鉄が高炉閉鎖による生産調整を開始した点が外航海運事業の鉄鉱石輸送にとって重荷となる。COVID-19の流行による経済停滞が鉄鋼需要を下押しすることで更に鉄鋼市場の需給バランスが悪化する状況にある点を加味すれば、外航海運事業は厳しい推移を当面は強いられそうである。強いて言えば、①過去の景気後退局面と比べれば1ドル105円前後での円安推移が続いている点、②原油価格の低迷によって燃料油価が安値圏での推移が続く点、が救いではある。

内航海運事業(16%)

■事業内容
内航海運事業には、近海水域サービスが含まれる。近海水域には近海海運(中国および東南アジア航路)および内航海運(国内航路)が含まれる。近海海運においては鋼材・穀物・バイオマス燃料が主力貨物となっている。特に中国航路は1950年代から手掛けてきた実績から高シェアを確保している。内航海運は連結子会社のNSユナイテッド内航海運およびNSユナイテッドタンカーが担っている。内航海運の輸送貨物は鋼材・石灰石・セメント・LPG・LNG・原子燃料など幅広いが、売上高の約30%が日本製鉄グループであることから鉄鋼メーカーの動向に影響されやすい点は外航海運事業と変わりない。

■過去の売上高分析
内航海運事業の売上高は200億円規模で安定的に推移している。外航海運事業と比べて売上高が安定的に推移するのは、①外航海運事業と比べれば緩慢な内航海運市況、②過去10年間で内航海運事業者数が▲20%前後の減少したことによる競争緩和、③モーダルシフトに動機付けられた安定的な輸送需要、に起因すると推測される。リーマンショック後の2009年には売上高166億円と過去10年間における最低水準にまで低落しているが、同年を除けば概ね安定的な売上高を維持していることを踏まえれば十分に安定的な部類だろう。

■将来の売上高予測
減少を見込む。外航海運事業と同じく、鉄鋼メーカーの生産調整による輸送量の減少が重荷となる点が懸念である。主要顧客の日本製鉄の呉製鉄所の閉鎖と国内高炉の追加休止によって、将来的な輸送需要の回復の見通しが立たなくなった点が苦しい。内航海運事業は高炉の燃料に使用される石灰石・コークスの輸送も担っていることから、鉄鋼メーカーの生産調整の影響は幅広い。LPG・LNGの需要は底堅く推移すると見込まれるが、鉄鋼メーカー関連の輸送量の減少を補う程の効果は望み難いか。

営業利益の構成

外航海運事業(77%)

■過去の営業利益分析
外航海運事業の営業利益は10億円から145億円と上下変動が激しい。外航海運事業の営業利益は、①景気動向によって左右される鉄鋼需要およびバルカー市況、②燃料油価および為替、に影響されやすい。特筆すべきは、売上高951億円にまで落ち込んだ2009年よりも2011年および2012年の営業利益が低迷している点だろう。同時期は中国向けの鉄鋼原料輸送は堅調に推移していたものの、為替78円/ドル・燃料油価680ドル/MTという厳しい外部環境が重荷となったことで外航海運事業は営業赤字寸前にまで追い込まれた。反面、2013年以降には歴史的円高の解消に加えて、国内景気が回復局面に転じたことで外航海運事業の営業利益は回復した。2011年から2012年の推移を踏まえれば、燃料油価と為替の影響は相当に大きいか。

■将来の営業利益予測
減少を見込む。燃料油価と為替は安定的に推移するものの、外航海運事業の主要顧客である鉄鋼メーカーの業績不振が重荷である。鉄鋼市場は世界的な供給過剰が顕著となっており、日本製鉄は呉製鉄所の閉鎖と国内高炉の追加休止によって国内粗鋼生産量の約10%を削減する意向である。高炉そのものの閉鎖によって鉄鉱石輸送量は減少を強いられると想定され、バルカー市況は当面の低迷が想定される。こうした環境においては撒積船が主力のNSユナイテッド海運は不利であり、営業利益の下方圧力は依然として強い。2019年以降にはヴァーレマックス型3隻を中国ーブラジル間の鉄鉱石輸送に投入するが、景気後退局面における鉄鋼需要の低迷は中国も例外ではなく予断を許さないか。

内航海運事業(22%)

■過去の営業利益分析
内航海運事業の営業利益は8億円から20億円と幅があるが、2011年以降は概ね15億円前後で安定的に推移している。過去10年間を俯瞰すると営業利益20億円を上回る好調を示したのは2013年と2018年である。2013年の好調はアベノミクスによる景気回復局面における建設需要の拡大によって鉄鋼メーカーの企業活動が活性化したことが原因である。2018年の好調は東京オリンピック関連需要に支えられた国内景気の活況と堅調な自動車メーカーの新車生産台数が原因である。鉄鋼メーカーの動向に左右されやすい点は外航海運事業と同様であるものの、外航海運事業と比べれば緩慢な内航海運市況が幸いして利益水準は安定的である。

■将来の営業利益予測
減少を見込む。主要顧客である鉄鋼メーカーの生産調整による輸送量の減少が重荷となる。汎用撒積船であれば採算の悪い貨物から他貨物の輸送に転用することで利益水準を維持できた可能性があったが、内航海運事業の保有船舶はコークス専用船・石灰石専用船・セメント専用船などで構成されており、他貨物の輸送に転用することが困難である。当面は原油価格の下落による燃料油価の低迷と減便による運航コスト削減によって、やや減益を相殺するか。強いて言えば、石炭価格の低迷継続による電力会社向け輸送量は確保できる見通しである。

財務の健全性

手元資金は余裕がある水準

■手元資金の特性
手元資金は増加傾向が顕著であり、2013年以降は250億円前後での推移となっている。売上高が年間1500億円規模と考えると手元資金としては120億円が目安となる為、余裕がある水準である。海運業は激しく変化する海運市況に業績を左右される業界であり、NSユナイテッド海運は2012年に純損失155億円を計上した過去がある。こうした背景から潤沢な手元資金の確保は企業存続の観点から重要であるが、NSユナイテッド海運の手元資金は十分な水準を維持している。

■過去の手元資金分析
2007年の手元資金58億円から長期的な増加傾向が継続している。2007年以前においても手元資金は50億円規模での推移となっており、リーマンショック後のNSユナイテッド海運が手元資金の確保への関心を高めていると解釈できる推移である。NSユナイテッド海運が誕生したのは2010年であるものの、合併による手元資金の変動は限定的であった。

自己資本比率は業界上位の水準

■自己資本比率の特性
自己資本比率は微増傾向にあり、36.7%に到達している。同業他社と比較すると、日本郵船24.4%・商船三井24.4%・川崎汽船11%・飯野海運31.7%となっており、業界上位の水準にある。海運業は船舶への多額の設備投資を必要とする性質から、設備資金の調達に借入金を活用する傾向が強く自己資本比率は低迷しやすい。NSユナイテッド海運は合併以前の財務体質が堅実であったことに加えて、船隊規模の拡大には抑制的であることが奏功して自己資本比率は同業他社よりも高水準で推移している。NSユナイテッド海運は中期経営計画において有利子負債の更なる圧縮を掲げている為、現行水準の自己資本比率は維持されよう。

■過去の自己資本比率分析
2011年から2012年にかけて自己資本比率が▲10.9%の減少で推移している。同期間は2年間で純損失164億円を計上しており、これによって純資産が655億円から526億円にまで減少したことが自己資本比率を低落させた。また、同期間にNSユナイテッド海運は有利子負債288億円を調達したことも自己資本比率を低迷させる要因となった。その後、2014年以降に業績好転したことで自己資本比率は回復に向かっている。

株価の割安感

BPSは微増するも概ね横ばい

■BPSの特性
BPSは2012年を底に微増傾向が継続しているが、大局的には長期的な横ばい推移を脱していない。NSユナイテッド海運は海運不況の中でも業績が安定している部類であるが、2012年に計上した純損失155億円で負ったBPSの毀損からの回復に時間を要した格好である。市況変化が激しく巨額の設備投資を擁する海運業は、時として巨額の純損失を発生させることでBPSが急落しやすい点を示す好例だろう。

■過去のBPS分析
2009年のBPSの急落が目立つが、これは純損失155億円を計上したことに起因している。寧ろ、安定的に純利益を確保し続けた2014年から2016年にかけてBPSが横ばい推移となっている点に着目したい。燃料油価および為替の変動リスクを低減する目的で利用しているデリバティブ取引で発生した繰延損失によって純資産が横ばいで推移したことでBPSの拡大が抑制されている。繰延ヘッジ損失は燃料油価と為替による著しい業績変動を回避して業績を安定化する効果がある為、時に足枷となる点はやむを得ない。

PBRは2009年から底這い推移

■PBRの特性
PBRは2009年以降は解散価値を下回る水準での推移を強いられている。海運業は数十年周期で到来する海運バブルでPBRが急騰する傾向があるものの、平常時においてはPBRは低迷する傾向が強い。NSユナイテッド海運もその例に漏れず、PBRの好不調が鮮明に分かれる推移となっている。歴史的にはPBR1.0倍を下回る水準での推移は珍しくはなく、現状のPBR0.5倍前後は底這い水準であるものの積極的に好感する水準でもない

■過去のPBR分析
2009年のPBRの急落が顕著である。海運バブルが崩壊したことで好業績こそ一服したものの純損失は計上していなかったことでBPSは横ばいを維持しており、同年のPBR下落は海運バブルの崩壊を見越した株価下落によって引き起こされたものである。当時のPBR2.5倍に迫る水準は、現在の株式市場でいえば村田製作所(PBR2.5倍)やアステラス製薬(PBR2.5倍)などの超優良企業と同格であり、海運バブルにおける株価高騰の傑出ぶりを感じさせる。

配当金の推移

配当金は業績連動型

■配当金の特性
配当政策は業績連動型である。NSユナイテッド海運は配当政策として「将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた株主各位への利益還元を継続的に行うこと」を掲げており、実際に配当金推移は業績に応じた推移となっている。NSユナイテッド海運は連結業績に対する配当性向30%前後と設定していることから、将来の業績に懸念が生じている場合には減配を覚悟する必要があろう

■過去の配当金分析
2007年の年間160円が傑出しているが、これは海運バブルによる好業績を株主還元へ反映した結果である。同年は純利益160億円を確保したことから、配当性向は15%前後に抑制されていた。尤も、海運バブルによって株価が高値圏で乱高下していた2007年の株価推移を観察すると10月の最高値から3月末までに株価が▲50%前後の下落を遂げており、こうした局面においても配当金を目的とする投資には向かない点が顕著である。

配当利回りは減配を織り込み

■配当利回りの特性
配当利回りは0%から4.85%での推移となっており、不安定な推移となっている。配当政策において配当性向30%前後が謳われていることから配当利回りが業績に応じて急変するのは当然である。配当利回りが安定しない性質が顕著かつ業績によっては躊躇なく無配転落する為、配当利回りには期待しない方が賢明である。2007年以降の配当利回りを概観すると期待値となる配当利回りは2%前後であり、日本株の平均的な配当利回りと同等水準である。

■過去の配当利回り分析
2007年以降の推移を俯瞰しても2018年の配当利回り4.85%という水準は傑出しており、減配を織り込んでいる水準である様に思われる。過去における減配直前の配当利回りは、2007年の配当利回り2.68%と2014年の3.09%であるが、2018年の配当利回りはこれらを凌駕する水準にある。足元の業績は無配転落した2011年および2012年の業績とは隔たりがあるものの、現在の水準の配当利回りは将来的に是正されよう。

総合評価

目標株価

1300円

既に日本製鉄の業績不振を織り込んだ水準にまで株価下落しており、割安感は高い。COVID-19の流行による株式市場の混乱で、当面の逆風を織り込んだ株価水準にまで下落して悪材料を多分に織り込んでいる。反面、日本製鉄の業績不振の解消目途が立たない点から上値追いする動機にも乏しく、当面は底値圏での低迷を継続すると見込む。尚、現在のNSユナイテッド海運は巨額の減損損失を発生させる要因は少ないとの前提に立ち目標株価を設定した。

投資判断

弱気

過去10年間は海運バブル崩壊後の市況低迷と共存しながら業績を維持してきたが、2019年から鉄鋼市場における世界的な供給過剰という新たな脅威に直面することとなった。日本製鉄が高炉維持の姿勢を撤回したことで、呉製鉄所の閉鎖と国内高炉の追加休止を実行する事態に至っており、NSユナイテッド海運に及ぶ影響がどれほど深刻なものとなるかが中止される局面となっている。こうした調整局面は過去にも幾度と到来していたが、今回は製鉄所自体が閉鎖されることで関連する輸送需要自体が消滅する事態である点が痛手である。即ち、将来的に鉄鋼市場の需給ギャップが回復に向かったとしても閉鎖された製鉄所に関連する輸送需要までは回復しない。こうした状況を克服する為には、既に着手しているヴァーレマックス型による中国ーブラジル間の大量一括輸送など、日系鉄鋼メーカーに依存しない事業形態へと転換していく必要があろう。いずれにせよ、現状は積極的に投資資金を差し向けたい動機に欠けることから、鉄鋼メーカーの調整局面の推移を見極めてから投資判断を見極めたい。