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Oakキャピタル(3113)の分析|財務堅実だが株式市場の低迷が逆風

基本情報

Oakキャピタル(3113)は、東京都港区に本社を置く投資銀行事業を主軸とする投資会社である。上場当時は紡績企業であったことから証券コードは繊維業種に分類されているが、現在では紡績部門を保有せず投資事業のみに転身を果たしている。

目次

株価の推移

株価は極端な上下変動を反復

■株価の特性
株価は極端な上下変動を反復する推移を描いている。株価低迷時には80円前後で取引される反面、好調時には300円を上回る水準にまで買い上げられる。Oakキャピタルの業績は好不調の落差が大きいため、こうした極端な推移になる。加えて、株価低迷時は絶対的な株価が100円を下回る低位株である為、手掛けやすさから個人投資家の買いが殺到する傾向がある。極端な上下変動で過度な損失を負わない様に注意して取引したい

■過去の株価推移
過去のOakキャピタルの価格変動率を測ると、2013年から2015年には452%を超える上昇率を記録する反面、2018年から2020年には▲78%を超える下落率を記録しており乱高下が激しい。最高値は1990年の10400円であるが、これは紡績会社であった時代の株価であり参考にはならない。投資会社に転じた後の最高値は2004年の3260円であるが、リーマンショックによる金融危機による打撃を受けた後は長期的低迷の渦中にある

日経平均株価との相関性は低い

■日経平均株価との相関性
日経平均株価との中長期的な相関性は高いものの、Oakキャピタルの株価は上下変動が激しく短期的な相関性を見出しにくい。Oakキャピタルをはじめとする投資会社は株式市場の好況時に業績好転することから、株式市場の動向を示す日経平均株価にある程度の相関性を示すことは当然である。逆に、株式市場が不調に転じた場合には業績不調と保有有価証券の評価額減少を嫌気して急激に株価が下落する点には注意しておきたい。

■過去の日経平均株価との相関性
大局的には日経平均株価と連動するものの、Oakキャピタルの株価は上下変動が極めて激しいが故に相関性を見出しにくい。過去のOakキャピタルの価格変動率を測ると、2013年から2015年には452%を超える上昇率を記録する反面、2018年から2020年には▲78%を超える下落率を記録しており乱高下が激しい。

業績の推移

売上高は極端な上下変動を反復

■売上高の特性
売上高は極端な上下変動を反復している。過去10年間の売上高は9億円から170億円のレンジで推移しており、事業会社では考えられない売上高の推移となっている。投資会社であるOakキャピタルは、連結対象から投資先企業が増減することで売上高が変動する為、売上高を時系列で比較する意義が薄い。こうした売上高の変動も株価の極端な上下変動を助長しているか。

■過去の売上高推移
2007年の売上高が傑出して多いが、これは投資先企業に売上高50億円規模の連結効果があるダイフレックスとその子会社が存在していたことが理由である。同社が連結対象から外れた後には売上高が急減している。2008年以降のOakキャピタルは連結効果の大きい子会社を取得しておらず、2014年以降は本業である投資銀行事業の売上高が大半を占めている。

営業利益は好不調の落差が大きい

■営業利益の特性
営業利益は上下変動が激しい。過去10年間の営業利益は-9億円から21億円で推移しており、年度毎の好不調が鮮明である。投資会社は投資フェーズと投資回収フェーズが顕著に分かれる性質があり、営業利益の継続的確保を前提としない。連結対象に大規模な事業会社が存在すれば営業利益は安定するが、現在は大規模な事業会社を有していない為にこうした推移となる。

■過去の営業利益推移
特筆すべきは、2007年に計上した営業赤字32億円だろう。リーマンショックによる株式市場の混乱の渦中で保有株の売却を強行したことで営業赤字が20億円に及んだ他、有価証券評価損が19億円規模にも及んだ。投資先企業であった新潟精密が民事再生法の適用を申請したことも打撃となっている。株式市場や金融情勢が急変した場合、投資会社は営業利益が確保できず保有資産が目減りする二重苦に圧迫されやすい事情が見え透く

売上高の構成

投資銀行事業(100%)

■事業内容
投資銀行事業には、未公開株投資・上場企業およびプレIPO投資が含まれる。Oakキャピタルの投資銀行事業は中堅企業および新興企業への投資を主力としている。投資先企業に積極的な協力することで企業価値を向上させている他、投資先企業間での合弁事業を立ち上げることもある点が特徴的である。2019年には東岳証券を買収して証券事業に参入した他、ノースエナジーの連結子会社化でアセットマネジメント事業に本格参入することで総合金融業への業態転換に意欲的である

■過去の売上高分析
投資銀行事業の売上高は事業の性質から上下変動が激しい。株式市場の活況時には売上高60億円を超えるものの、株式市場の低迷時には売上高5億円規模に縮小する。Oakキャピタルは株式市場の低迷時には投資回収を見送る為、必然的に売上高が低迷する格好である。株式市場の低迷時には投資先企業の価値向上に向けた助言や合弁事業の設立などに注力し、株式市場の活況時には投資回収を進める事業サイクルが見え透く

■将来の売上高予測
増加を見込む。投資銀行事業が売上高を拡大する為には投資回収が不可欠であるが、COVID-19に発端を発する株式市場の低迷によって当面は投資回収を計画通りに進捗させにくい局面が続く。しかし、2019年から傘下に加えたスターリング証券およびノースエナジーの売上高が連結対象となることから、売上高40億円前後が追加計上される見通しである。従来の投資事業の売上高は振るわないものの、連結対象の増加によって売上高が伸びる構造である

アドバイザリー事業(廃止)

■事業内容
アドバイザリー事業は、顧客企業に対する戦略策定・営業支援・資金調達支援などが含まれる。特に独力での事業戦略策定や業務提携交渉に限界がある中堅企業や新興企業に対して、Oakキャピタルが有する知見と情報網を提供することで企業価値向上の機会を提供している。直近では半導体自動検査を手掛けるウィンテストとアドバイザリー契約を締結している。

■過去の売上高分析
2014年にセグメントとしては廃止されており、投資銀行事業に合流している。人的リソースに限りがある中堅企業や新興企業においてはアドバイザリーの需要は依然として高いものの、最大の難点はOrkキャピタル側の人的リソースも限られる点である。Oakキャピタルは従業員数30名規模の業容であり、株式市場が活況に転じた場合には投資案件模索や投資回収実行が多忙となる為にアドバイザリー事業の売上高は落ち込む

■将来の売上高予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

産業資材事業(廃止)

■事業内容
産業資材事業は、合成樹脂建材・建築用床材・特殊フィルム・照明機材などの製造販売が含まれる。2004年に日本コーバンの株式を取得したことで誕生したセグメントであり、Oakキャピタル自身が手掛ける事業ではない。2013年に保有株式売却によって連結対象から外れた為、既にセグメントとしては廃止となっている。

■過去の売上高分析
売上高は年間5億円前後で安定的であった。株式市場の低迷時には売上高10億円規模にまで縮小するOakキャピタルの性質を考えれば、年間5億円の売上高が安定的に計上される意義は大きい。株式市場の低迷が厳しかった2012年にはOakキャピタルの売上高9億円のうち日本コーバンが売上高5億円を占めており、売上高の過半を占める状況となっていた。

■将来の売上高予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

リスクマネジメント事業(廃止)

■事業内容
リスクマネジメント事業は、保険代理店業が含まれる。2002年に損害保険会社と協力して設立したビーエスエルインシュアランスが担うセグメントであり、Oakキャピタル自身が手掛ける事業ではない(セグメントとしては独立したのは2009年以降である)。2012年にビーエスエルインシュアランスの経営陣によるMBOによって連結対象から外れた為、既にセグメントとしては廃止となっている。

■過去の売上高分析
売上高は年間1億円前後で安定的であった。Oakキャピタルが株式市場の低迷時には売上高10億円規模にまで縮小することを考えれば、年間1億円とはいえ安定的な売上高が確保される意義は小さくない。連結対象であった時期には営業力拡大による拡販を標榜していたが、売上高の拡大は限定的であった。

■将来の売上高予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

営業利益の構成

投資銀行事業(0%)

■過去の営業利益分析
投資銀行事業の営業利益は事業の性質から上下変動が激しい。好調時には20億円規模の営業利益を計上する反面、不調時には▲20億円規模の営業赤字を計上している。リーマンショック後の2007年から2008年にかけては株式市場の低迷から投資回収計画が狂わされたことで株式評価損を計上したことで年間▲20億円を超える営業赤字を計上した。リーマンショック後の株式市場の暴落時に防衛的株式売却を強行したことも営業赤字をの原因となっている。

■将来の営業利益予測
営業赤字の継続を見込む。2018年以降の株式市場の低迷により投資回収が進めにくい環境に転じている。2020年にはCOVID-19を発端とする株式市場の低迷が始まっており、積極的な投資回収が進め難い。Oakキャピタルが2019年から進めている総合金融業への業態転換は進行しているが、これも株式市場の動向に依存する点で共通であり大きな利益は見込みがたい。東京証券取引所の再編に伴うアドバイザリー需要は活性化しそうだが、顧客企業はCOVID-19による経済的混乱が続く限りは事業防衛に懸命であるため大きな動きは期待しにくい。強いて言えば、ノースエナジーが営業利益を安定確保していることから、他事業の営業赤字を相殺して若干良化する可能性はあるか。

アドバイザリー事業(廃止)

■過去の営業利益分析
アドバイザリー事業の営業利益は不安定である。平時であれば営業利益3000万円から6000万円で推移しているが、2013年には営業赤字4800万円を計上している。アドバイザリー事業は営業費用が高止まりしている為、アドバイザリー案件が低迷した場合には営業赤字に転落する。株式市場の活況時にはOakキャピタルの人的リソースが投資銀行事業に集中投入されることから、アドバイザリー事業の営業赤字が拡大する傾向がある。とはいえ、Oakキャピタルの本業が投資銀行事業にあることを思えばやむを得ない。

■将来の営業利益予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

産業資材事業(廃止)

■過去の営業利益分析
産業資材事業の営業利益は不安定である。産業資材事業を担う日本コーバンは2007年以前は内需低迷と海外製品流入によって営業赤字が嵩んでいたが、提案型営業シフトを目玉とする経営再建策を遂行したことで2011年に営業利益を確保できる体質へと移行した経緯がある。営業赤字が続いていた傘下の子会社の企業価値を向上した後に売却する手法は、Oakキャピタルの常套手段であり収益スキームそのものである。

■将来の営業利益予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

リスクマネジメント事業(廃止)

■過去の営業利益分析
不動産事業は安定して年間3億円規模の営業利益を稼ぎ出しており、直近では営業利益の15%を占めている。年間3億円程度では営業赤字を補う程度の効果しかないものの、常に安定した営業利益を確保できる意義は大きい。

■将来の営業利益予測
既に廃止されたセグメントであるため予測は提示しない。

財務の健全性

手元資金は潤沢な水準

■手元資金の特性
手元資金は直近では20億円台を維持している。連結対象に事業会社が含まれていた2013年以前はともかく、現在のOakキャピタルは純粋な投資会社であるため、手元資金は投資余力を示すバロメーターである。投資会社の理想的な推移は、①株式市場の活況時に投資回収を進めて手元資金を拡充して投資余力を高める、②株式市場の低迷期に安値圏で積極投資をして投資余力を下げる、ことである。Oakキャピタルは株式市場が活況であった2016年から2017年に投資回収を着実に進めて手元資金を拡充する理想的な推移となっている

■過去の手元資金分析
過去の推移を見ると、2016年に手元資金が急増して45億円に到達している。その後は総合金融業への転換を見据えた積極投資で手元資金が減少している。2018年にノースエナジーの株式の57%を取得した他、2019年の東岳証券の買収に費用を要した。2014年以降は配当金支払いに年間2億円から5億円を充てている点も大きい。

自己資本比率は最優良水準

■自己資本比率の特性
自己資本比率は右肩上がりで推移しており、直近6年間は90%前後となっている。同業他社と比較すると、日本アジア投資23.6%・ジャフコ84.8%・FVC87.0%となっており、業界上位の水準にある。安定的な事業収益が見込めない投資会社の性質上、自己資本比率の厚みは企業存続の観点から重要である。この点、Oakキャピタルは他人資本にほぼ依存しない事業運営を確立しており、当面の安定性は高そうである。ただし、2019年度から連結子会社にノースエナジーが加わったことで同社の負債が連結対象となるため自己資本比率の低落が見込まれる。

■過去の自己資本比率分析
リーマンショック後は概ね右肩上がりで推移しているが、特に2013年の自己資本比率の向上が顕著である。前年と比較して約25%の向上を果たしているが、これはナノメディアとの株式交換によって資本剰余金が急増した点に由来する。Oakキャピタルは連結対象となる子会社の出入りや株式交換などによって自己資本比率が上下変動しやすい点には注意したい

株価の割安感

BPSは成長軌道を維持

■BPSの特性
BPSは2010年を底に右肩上がりで推移している。2011年までは2500円前後あったBPSは2012年に600円前後にまで暴落しており、この痛手からの回復途上にある。とはいえ、2018年以降は再び業績悪化に転じていることから、BPSの向上は一時的に停滞する可能性が高い。

■過去のBPS分析
BPSは株式の資産価値を表す指標として参照される為、2012年の様な暴落に直面すると株価にも影響が生じる。このBPSの暴落が起こるまで東京製綱の株価は1500円台から3500円台の値幅で取引されていたが、この暴落後は800円台から2400円台の値幅に切り下がって推移している。

PBRは低迷するも底堅い

■PBRの特性
PBRは2013年以降は右肩下がりで推移している。2012年から2013年はPBR1.5倍を超える水準で推移しているものの、これは業績悪化による株価下落が原因である。株価の下落以上にBPSが暴落したことで相対的にPBRが高い状態になったに過ぎず、東京製綱の株式価値が高く評価されたことが理由ではない。

■過去のPBR分析
2013年以降は業績好転したことでPBR1.0倍以上を維持していたものの、2018年に再び業績懸念が浮上したことでPBR1.0倍割れに転落している。既に株式市場は業績悪化によってBPSが毀損する懸念を織り込み始めている為、どの程度のリスクを許容できるかによって割安判断を下せるか分かれる。

配当金の推移

配当金は業績連動型

■配当金の特性
配当政策は業績連動型である。Oakキャピタルは配当政策として「経営成績・財政状態及び将来の事業展開に備えるための内部留保も勘案のうえ、継続的に実施できる収益力を確保すること」を掲げている。近年のOakキャピタルは業績と財務が共に好調かつ内部留保に余裕があった為、配当金の支払いに前向きである。ただし、投資会社の性質上、株式市場が急転した場合には企業存続を優先する為に配当金を抑制する可能性が高い。株式市場の低迷時には企業買収などに資金投入する方が将来的な業績拡大を見込める為、配当金は支払われにくい。

■過去の配当金分析
配当政策自体は過去と変わりないが、2014年を境に配当金の支払い姿勢が明確に変化している。2000年代のOakキャピタルは好業績であっても「投資事業により得られた収益を新しい再投資へとつなげ収益の更なる拡大に寄与することが当社の企業価値向上につながり結果として株価の上昇という形で株主に還元される」と打ち出していて無配当を貫いていた。

配当利回りには期待しない

■配当利回りの特性
配当利回りは上下変動が激しい。直近5年間のみでも1.5%から3.7%と幅広い推移となっている。株価の上下変動が極めて激しい性質から、配当利回りが安定しないのは当然である。Oakキャピタルに限らず、投資会社は年度毎の業績変動が激しい為に配当金から安定した利回りを得ることが難しい点は念頭に置いておきたい

■過去の配当利回り分析
Oakキャピタルは2014年から配当金の支払いを再開して以降、配当性向30%を目安として配当を遂行してきた。2014年から2015年にかけては年間5円の配当金であったが、アベノミクスによる株高局面によってOakキャピタルの株価が急騰したことで配当利回りは1%台であった。2017年には年間10円に増配されたことで配当利回り3.7%に到達し、翌年の2018年は年間5円に減配されたものの株価下落に見舞われたことで配当利回り3.3%を維持した。

総合評価

目標株価

120円

歴史的にも相当の安値圏であり割安感は強い。ただし、株式市場の動向に業績が左右される投資会社として考えた場合、当面の株式市場の低迷が足枷である。Oakキャピタルの財務体質からすれば株式市場の低迷が長期化しても耐え凌ぐことは可能であるが、それだけの期間に渡って低位株を保有し続ける機会損失を考慮すればこの程度の株価が妥当か。

投資判断

中立

最も注意したいのが、Oakキャピタルの事業が転換期を迎えている点である。過去10年間のOakキャピタルは有望な中堅企業や新興企業を傘下に加え、企業価値を向上した後に売却するスキームで利益を得る投資会社であった。しかし、2018年以降は新たに傘下に加えた証券会社(スターリング証券)およびアセットマネジメント会社(ノースエナジー)を活用した総合金融業への転換を企図している。これが奏功するかが重要であろう。Oakキャピタルの戦略としては、①低金利環境における高利回り運用の提供、②東証再編に伴うM&Aや資本増強の活性化への参画、を掲げている。方向性自体は何ら誤っていないが、COVID-19の流行に端を発した株式市場の低迷が冷や水を浴びせるリスクは念頭に置いておきたい。