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企業レポート

SUMCO(3436)の分析|半導体需要は減少するも業績悪化は限定的

基本情報

SUMCO(3436)は、本社を東京都港区に置くシリコンウエーハメーカーである。シリコンウエーハにおける世界シェアは約25%とされ、信越化学工業と並んで世界首位級の業容を誇る。シリコンウエーハ専業メーカーとしての技術力には定評があり、米インテル・韓サムスン電子・台TSMCなどの半導体メーカー世界上位10社はすべてSUMCOの主要顧客とされる。源流企業は1937年に設立された大阪特殊製鉄所にまで遡ることができるが、様々な企業を吸収してきた歴史があり、現在のSUMCOは2002年に住友金属工業シチックス事業本部・三菱マテリアルシリコン・シリコンユナイテッドマニュファクチャリングが合併して誕生した。

目次

株価の推移

株価は調整局面だが底堅い

■株価の特性
株価は480円台から6730円台のレンジで推移しており、上下変動が極めて激しい。SUMCOの業績はシリコンウェーハ市況に左右されやすく、株価にもこの性質が顕著に表れていると見てよい。シリコンウエーハ市況が特に好調であった2000年代後半を除いても、株価のレンジは480円から3345円と上下変動が激しい為、株価の先行きは慎重に予測しておきたい。SUMCOはシリコンウェーハ専業メーカーであり、シリコンウェーハ市況が悪化した場合に業績悪化を緩和する事業を有していないことも、株価の上下変動を助長しているか。

■過去の株価推移
2000年代後半に到来したシリコンウエーハ市況の好調期には株価が高騰しており、2007年には上場来高値6730円を記録している。尤も、リーマンショックに端を発する景気後退が始まる約1年前にあたる2007年後半には株価下落に転じている。同時期の株価下落はDRAM価格の下落を警戒したものであったが、結果的にはシリコンウェーハの市況悪化が現実化した点は興味深い。2008年の時点では2000円台で下げ止まったが、その後にリーマンショックによる景気後退とシリコンウェーハの深刻な市況悪化が連続して到来したことで株価は1000円台での推移を強いられた。2008年から2013年に至るまで業績不振が尾を引いたことで株価は更なる下落を遂げて500円台での推移が長期化したが、2013年以降は業績好転によって株価が回復基調へ転じた。業績好転したとはいえ、株価が堅調な右肩上がりを描くことはなく、上下変動が激しい推移が継続している点は留意したいか。尚、2015年に三菱マテリアルおよび日本製鉄に発行していた優先株を消却する資金を調達する目的で公募増資を約600億円規模で実施したことで発行済株式数が約14%増加しており、株式の希薄化が生じている。

日経平均株価との相関性は低い

■日経平均株価との相関性
SUMCOは日経平均株価の構成銘柄である。SUMCOの株価と日経平均株価の相関性は低い(2007年4月から2020年3月の相関係数:0.31)。業績の上下変動が厳しいSUMCOの株価は長期的な右肩上がりの株価とはなっておらず、2013年から右肩上がりの拡大傾向を継続した日経平均株価との相関性は希薄である。2013年以降のSUMCOの業績は緩やかな拡大基調を継続しているものの、リーマンショック以前の業績水準は回復できておらず、シリコンウェーハ市況が悪化すれば業績低落が不可避であることから株価は右肩上がりを演じ難い。

■過去の日経平均株価との相関性
2016年から2018年にかけては日経平均株価との相関性が高い推移を描いていた。同時期は、データセンター投資や5G投資が社会的に注目されており、株式市場において半導体関連業が脚光を浴びていた時期と重なる。こうした背景と業績好調が重なったことでSUMCOの株価は力強い上昇を演じていた。同時期は日経平均株価がアメリカ経済の堅調な拡大と日本企業の好業績に支えられて上昇を遂げており、相関性が拡大した構図である。特に2018年は米系大手IT企業の業績が脚光を浴びたことで、IT関連業や半導体関連業などの株価が日経平均株価を牽引しており、相関性の拡大は偶然ではない。

業績の推移

売上高は2014年から回復傾向

■売上高の特性
売上高は2009年以降は2000億円規模での推移が続いてきたが、2018年以降は3000億円規模へと回復を果たしている。シリコンウェーハ専業メーカーであるSUMCOの売上高は、①シリコンウエーハの市況変化による価格変動、②代金支払いに用いられる通貨の為替変化、③主要顧客の半導体メーカーの販売動向、などに影響される。シリコンウェーハ市況は半導体需要に呼応して激しい上下変動を強いられがちであり、好調期であっても過剰な生産能力増強によって価格が急下落することは珍しくない。SUMCOは市況変化に影響されにくい長期契約と好調期に高価格で販売できるスポット契約を組み合わせることで、市況変化で売上高の安定化を図っているが長期的なシリコンウェーハ市況の動向にはやはり左右される。

■過去の売上高推移
シリコンウェーハの世界需要は2018年に125億平方インチと過去最高を記録したが、販売価格の低迷が継続していることから、リーマンショック以前の売上高を回復できていない。2007年のシリコンウエーハの価格は160円/平方インチで推移していたが、2018年のシリコンウエーハの価格は100円/平方インチ前後の水準に留まっている。最先端分野に使用されるシリコンウェーハは信越化学工業とSUMCOの独壇場であることから競争が少ないものの、それ以外のシリコンウエーハは台グローバルウェーハズ・独シルトロニック・韓SKシルトロンなどの世界第3位以下の同業他社との競争を強いられており、構造的に供給過剰に陥りやすい。こうした背景から、シリコンウエーハの価格は低迷を脱せず、シリコンウエーハの世界需要が過去最高を記録する中でも売上高が右肩上がりとなっていない。2016年以降は旺盛な半導体需要によって売上高はやや回復傾向に転じたが、2019年移行は米中貿易摩擦に端を発した景気後退によって半導体需要が頭打ちとなった為、売上高の回復は停滞した。

営業利益は2017年から急回復

■営業利益の特性
営業利益は極端に上下変動が激しく、2009年には営業損失865億円規模が連続した反面、2018年には営業利益851億円に到達している。好調時であれば営業利益率25%を超える水準に到達する反面、不調時には企業規模に見合わない巨額の営業赤字に転落する。シリコンウェーハ市況や為替動向に左右されやすい点は売上高と共通するが、営業利益の観点では原材料価格が重要である。原材料となる高純度多結晶シリコンは製造者が限定されることに加えて、長期購入契約の価格と品質を見誤ると利益水準を圧迫する特徴がある。実際、2018年には大阪チタニウムテクノロジーズとの長期購入契約が価格と品質に見合わず、早期解約金100億円を計上する事態に至った他、実需と乖離した高純度多結晶シリコン在庫を抱え込んだ。シリコンウェーハ市況や原材料価格の変動をこなしながら半導体需要に応じたシリコンウェーハを製造する舵取りは極めて難しく、営業利益の安定的な推移を期待することは困難である

■過去の営業利益推移
2009年から2010年に渡って営業利益の低迷に見舞われており、特に2009年は営業損失865億円を計上する逆風に見舞われている。これはリーマンショックに端を発した景気後退による半導体需要の急減が主要因である。販売数量こそ2009年後半には回復へ転じたものの、2006年に半導体需要の拡大に備えた生産能力増強をシリコンウェーハ業界が強行していたことが祟って販売価格の低迷が続き、利益水準の悪化が長期化する事態を招いた。2012年以降には営業利益は好転に向かったが、ここに至るまでに、①1200名規模に及ぶ人員削減、②小径シリコンウェーハの生産拠点であった生野工場および米シンシナティ工場の閉鎖、③連結子会社のSUMCOソーラーおよび水俣電子の解散、など凄惨な構造改革を遂行した経緯がある

売上高の構成

高純度シリコン事業(100%)

■事業内容
高純度シリコン事業には、半導体メーカー向けシリコンウェーハの製造及び販売が含まれる。シリコンウェーハは直径が大きいほど1枚から切り出せる半導体の個数が多くなるため生産性が向上する他、無駄となる部分が減少することで歩留りが向上する。高純度シリコン事業はより直径が大きいシリコンウェーハの製造するべく長年に渡って注力しており、現在は直径300mmまでのシリコンウェーハを製造している。近年は最先端の微細化技術に対応した高品質なシリコンウェーハの需要が高まっているが、SUMCOは300mm最先端半導体用高精度ウェーハで高シェアを獲得しており競争力は高い。現在の主力製品は300mmウェーハであるが、前世代の200mmウェーハも車載用途や通信用途を中心とした需要が見込まれることから依然として主力製品の一角を担っている。

■過去の売上高分析
高純度シリコン事業の売上高は1851億円から4749億円と上下変動はあるが、2016年を底としてやや回復基調にある。2007年の売上高4749億円が傑出しているが、これはシリコンウェーハ市況が歴史的な好調期にあった点に起因する。しかし、2007年以降に様相は一変、2007年から2009年までの3年間で売上高は▲54%もの減少に見舞われた。これは、①リーマンショックによる半導体需要の急減、②好調期における同業他社との生産能力増強競争による供給過剰の深刻化、③景気後退局面における円高進行による為替影響、が原因であった。2009年から2016年に至るまでシリコンウェーハ価格は90円/平方インチ前後の水準で低調な推移を強いられたことから売上高は2000億円規模での推移が続いたが、2016年以降は売上高がやや回復基調に転じた。近年は売上高3000億円規模が定着しているが、これは、①シリコンウェーハ価格が100円/平方インチ前後の水準にやや回復した点、②スマートフォンや車載部品などの成長に支えられたシリコンウェーハ需要の増大、③データセンター投資および5G投資の増加に支えられた販売数量の増加、に起因している。

■将来の売上高予測
微減を見込む。2018年以降の半導体需要の調整局面が目先は継続する他、COVID-19の流行による経済停滞が売上高の下方圧力として作用する。尤も、SUMCOのシリコンウェーハ販売価格はスポット価格こそ下落したものの長期契約価格は堅持されている為、2008年の景気後退局面において見られた急激な売上高の減少に見舞われる可能性はない。中長期的な目線では、世界的なテレワークの普及と巣籠消費によって電子機器の需要は早期に回復基調に転じると想定され、シリコンウェーハ市況が回復基調に転換する余地は残される。特に着目したいのはCOVID-19の流行で打撃を受けた新車生産台数の動向であり、これが回復に転じた場合には車載半導体需要を中心とする力強い反発が生じうる。景気低迷が長期化した場合を想定しても、データセンター投資が弱含みながらも継続する点が支えとなる点を考慮すれば、シリコンウェーハ需要の底抜け不安は薄い。2008年の景気後退局面と異なり、1ドル100円前後の円安水準が継続している点も救いか。

営業利益の構成

高純度シリコン事業(100%)

■過去の営業利益分析
高純度シリコン事業の営業利益は▲865億円から1403億円と上下変動が極端に激しいが、2012年から営業利益は回復傾向にある。高純度シリコン事業の営業利益は様々な要因に左右されやすい特性があり、①シリコンウエーハの市況変化による価格変動、②代金支払いに用いられる通貨の為替変化、③原材料である高純度多結晶シリコンの調達価格、④主要顧客の半導体メーカーの販売動向、などに影響されることから極端な推移となりやすい。過去の推移を観察すると、2007年および2018年の営業利益の高騰が顕著であるが、これはシリコンウェーハの市況が回復していた時期に合致する。2007年のシリコンウエーハの価格は160円/平方インチで推移していたが、2009年には90円/平方インチにまで価格が下落したことで営業利益は急減した。2018年においてもシリコンウエーハは100円/平方インチ前後の水準で低迷しているが、2016年以降は従来の半導体需要にデータセンターおよび5G設備に向けた需要が加算されたことでシリコンウエーハの需要が急拡大したことで営業利益が回復に向かった。

■将来の営業利益予測
微増を見込む。シリコンウェーハ市況は2019年にやや減速したものの、中長期では成長傾向を維持すると見込む。2020年にはCOVID-19の流行による経済停滞が半導体需要を下押ししたが、世界的なテレワークの普及と巣籠消費によって電子機器の需要は早期に回復基調に転じると想定される。2020年後半以降にはデータセンター投資および5G投資が再加速した場合にはシリコンウェーハ市況は2018年の水準を回復するか。シリコンウエーハの価格は100円/平方インチ前後の水準を当面継続すると見込むが、過去10年間で生産効率が向上していることから旺盛な需要が稼働率を下支えすれば、利益水準を切り上げることは難しくない。リーマンショックを発端とする景気後退局面においては、300mmシリコンウェーハの生産設備への過剰投資が裏目となり巨額の純損失を計上する業績不振に見舞われたが、昨今のSUMCOは過剰な設備投資を控えていることから、半導体需要の回復が遠のいた場合にも急速な業績悪化には陥らないと想定する。

財務の健全性

手元資金は極めて潤沢な水準

■手元資金の特性
手元資金は概ね500億円から800億円のレンジで推移しているが、近年はやや減少傾向にある。売上高が年間3000億円規模と考えると手元資金としては250億円が目安となる為、極めて潤沢な水準である。SUMCOは売上債権を買掛債務を約300億円ほど上回っており、手元資金への安全性は高めである。尤も、SUMCOは高純度シリコン事業のみに依存する企業であり、同事業は巨額の研究開発費と設備投資を必要とする事業である点を踏まえると、潤沢な手元資金は企業存続の必須条件である。

■過去の手元資金分析
2011年の手元資金の急減が際立つ。同年は業績不振による構造改革費用581億円を計上したことで純損失843億円に到達しており、営業キャッシュフローが減少する中で借入金返済に544億円を投じたことで手元資金が減少した。翌年の2012年に業績不振が継続しながらも手元資金が700億円規模に回復を遂げたのは、第三者割当増資によって447億円の収入を得たことによる。2013年以降は業績回復に向かったことで手元資金の問題は解消した。2015年に手元資金が一時的に減少しているが、これは業績好転したことを好機に、借入金返済に604億円を投じた他、自社株買いに544億円を支出したことに起因している。

自己資本比率は業界下位の水準

■自己資本比率の特性
自己資本比率は2008年からの増加傾向こそ2014年で途切れたものの、依然として52.2%と高水準に位置している。同業他社と比較すると、信越化学工業82.1%・東京エレクトロン64.1%・アドバンテスト65.1%となっており、業界下位の水準である。半導体関連業は激しい市況変化の波に耐え抜きながら巨額の研究開発費や設備投資費を必要とする産業であり、財務耐久力が企業存続の必須条件である。SUMCOの自己資本比率は決して低くはないものの、同業他社と比べるとやや見劣りする感は否めない。

■過去の自己資本比率分析
2007年前後は自己資本比率15%前後の水準で推移していたが、2008年からは増加傾向に転じたことで2014年には自己資本比率51.8%に到達している。SUMCOの自己資本比率は上下変動が激しく、業績に応じて低迷と上昇を繰り返している。2004年の自己資本比率は21.1%に過ぎなかったものの、2000年代中盤におけるシリコンウェーハ市況の需給逼迫による業績好調によって2007年には自己資本比率50.2%にまで急上昇した経緯がある。将来の業績が好調に推移すると見込まれる局面であれば自己資本比率を過度に警戒する必要はないが、業績悪化が予測される局面では自己資本比率の低落に耐える余地があるかよく確認したい。

株価の割安感

BPSは2014年から回復傾向

■BPSの特性
BPSは424円から1419円のレンジで推移しており、2008年以降の業績不振での毀損からの回復途上にある。BPSの下落が急激に進行する反面、回復は緩慢である。BPSの上下変動が激しい理由は、①シリコンウェーハが需給に販売価格を大きく左右される市況産業であり2008年以降は低迷が継続している点、②多額の設備投資を要することから将来需要を読み誤った場合の損失が巨額化しやすい点、③高純度シリコン事業のみに依存していることでシリコンウェーハ市況悪化時の補完が効かない点、に所在する。

■過去のBPS分析
2008年から2011年に至るまでのBPSの下落が顕著である。同期間にBPSは1419円から424円にまで下落しており、下落率は▲70%にも及んだ。同時期は、リーマンショックに端を発した景気後退によって、携帯電話やパソコンの需要が急激に冷え込んだことでシリコンウェーハ価格が急落していた時期と重なる。SUMCOは営業損失865億円を計上したに留まらず、小径シリコンウェーハ生産体制の再構築に特別損失150億円を計上するなど厳しい推移を強いられた。SUMCOは2009年の時点で早々の需要回復を見越していたが、①シリコンウェーハの市況悪化が予測を上回るペースで進行した点、②1ドル80円前後の歴史的な円高水準による為替影響、③更なる環境悪化を受けた構造改革費用の計上、などの影響が2011年に至るまで継続した。2011年には環境悪化が一巡したことでBPSは底打ちを果たしたが、BPSは現時点に至るまでリーマンショック以前の水準には回帰していない。

PBRはやや割高な水準で推移

■PBRの特性
PBRは概ねPBR2.0倍前後の水準で推移しているが、業績に応じた上下変動が激しい。過去10年間ではPBR0.7倍からPBR3.5倍のレンジで推移している。PBRが高止まりする理由は、①株式市場における評価が高いが故に割高水準で売買されている場合、②業績不振などで過小資本に陥っている場合、があるが、SUMCOは前者である。半導体関連業は将来性への期待値と業績好転時における利益水準の高さから、近年は割高圏での推移が継続しており、SUMCOも例に漏れない。過去10年間における推移を観察する限り、概ねPBR1.5倍未満の水準であれば割安圏と判断できそうである。

■過去のPBR分析
2008年のPBR0.7倍が際立っている。同年は景気後退局面における半導体需要の急減が際立ったことで300mmシリコンウェーハの生産能力増強に血道を上げていたSUMCOの業績不振が確実視されたことに加えて、リーマンショックによる株安局面でSUMCOの株価が急落したことによってPBRが低迷していた。結果的には株式市場の懸念が的中してSUMCOは深刻な業績不振に見舞われたが、2008年は業績不振に陥る以前であったことからBPSが1419円と高止まりしていたことでPBRが1.0倍を下回る水準となった。尤も、翌年の2009年には業績不振によってBPSが急落したことで従来レンジであるPBR1.5倍前後の水準へと回帰している。

配当金の推移

配当金は業績連動型

■配当金の特性
配当政策は業績連動型である。SUMCOは配当政策として「各事業年度における利益水準、次期以降の見通し、及び、設備投資等の資金需要や内部留保の状況等を総合的に勘案したうえで、柔軟かつ積極的な株主還元を実施していく」を掲げており、実際に配当金推移は業績に応じた推移となっている。業績連動型であることを踏まえても、ここまで極端な上下変動を継続する企業は珍しい。好調時には年間50円を超える反面、不調時には年間0円から年1円で推移することも珍しくはなく、安定的な配当金の支払いは期待できない

■過去の配当金分析
2007年および2018年の配当金は年間50円を上回る水準となっており、傑出している。2007年は純利益748億円を確保していた為、年間55円を支払いながらも配当性向は24.7%に留まっており、好調時における配当水準としては余裕があった。2018年は2007年を上回る年間62円を支払ったものの、同年の純利益585億円に留まっていた他、発行済み株式数が公募増資によって約14%の増加となっていたことで配当性向は43.0%と高めの水準になった。これは、2007年のSUMCOは300mmシリコンウェーハの生産能力増強やソーラー事業拡大に向けた積極投資を予定していたことで配当性向の拡大に限界があったものの、2018年のSUMCOはシリコンウェーハ市況の好転を予期しながらも投資拡大に抑制的であったことで配当性向を拡大できた相違点に起因している。

配当利回りは極端な上下変動

■配当利回りの特性
配当利回りは0%から5.0%のレンジで極端な上下変動を継続しており、安定的な配当利回りは期待できない。シリコンウェーハ市況の低迷による業績不振が続く局面では配当利回り0%の継続が起こっており、株価下落に追い打ちをかける様に配当利回りが低迷している。業績好調によって配当水準が切り上がった後にシリコンウェーハ市況の悪化などの要因で業績不振を警戒した株価下落が起こると、株価水準と配当水準の不均衡が生じて配当利回りが急騰する構図である点には留意したいか。

■過去の配当利回り分析
2018年の配当利回り5.0%が傑出している。同年は業績好調によって配当金が年間62円に到達した半面、SUMCOの株価が下落に転じたことで配当利回りが急騰した。同年の株価下落はデータセンター投資の一服による半導体需要の低迷や米中貿易摩擦に端を発した景気後退懸念によるものであったが、株価下落が急激に進行したことで半導体関連業としては異常値に近い高水準の配当利回りに到達した。株価と業績の上下変動の激しさ故に、配当利回りが急騰する局面が到来することが珍しくはないが、こうした異常値は早々に是正されることから過度の期待は禁物である

総合評価

目標株価

2250円

2018年に到来した半導体関連株ブームによって一時は3000円台にまで高騰した株価は景気後退懸念による半導体需要の調整局面によって手痛い調整を強いられた。反面、2019年以降は半導体需要の回復局面の到来を伺う状況へと転換しており、目先のシリコンウェーハ市況も底堅い。COVID-19の流行による経済停滞が半導体需要の回復を先送りした点は懸念ではあるが、半導体需要の回復が本格到来した場合には2018年水準の業績までの回復は期待できる。目先の株安局面を加味しても、この程度の株価水準には到達しうると判断する。

投資判断

やや強気

2018年からシリコンウエーハ市況はやや悪化したものの、2008年の市況悪化時とは根本的な性質が異なる点に着目したい。2008年の市況悪化時は、①SUMCOが300mmシリコンウェーハの生産能力増強に積極的な投資を継続していた点、②シリコンウェーハ価格が160円/平方インチ前後の水準で高止まりしていた点、が深刻かつ長期に渡る業績悪化を引き起こした。この点について現状を観察すると、①現在のSUMCOは歴史的な教訓に基づき設備投資には抑制的であり巨額の減損損失を計上する余地に乏しい、②シリコンウェーハ価格が100円/平方インチ前後の水準で低迷している。したがって、2007年以降に見舞われた深刻な業績不振に陥る様な素地は存在しないと想定される。シリコンウェーハ市況の先行きに目を向けると、2020年にCOVID-19の流行によって半導体需要は一時的低迷を強いられようが、世界的なテレワークの普及と巣籠消費の拡大によって2020年後半以降は回復に向かいそうである。データセンター投資および5G投資の回復や車載半導体の増加が重なれば、半導体需要は早々に成長基調への回帰を果たす余地も残されている。主要顧客の半導体メーカーの販売動向とCOVID-19の感染収束時期を見極めたいものの、更なる業績悪化の余地が限定的である反面、半導体需要の成長余地が過分に残されている点を踏まえ、投資判断はやや強気に設定した。